もう一人の祖母と同居

3月14日、母方の祖母が越してきました。

これからは、要介護2の父方の祖母94歳と、多発性骨髄腫末期の父65歳と、母65歳と、数年間の仮住まいの夫35歳と私35歳と、軽度認知症の母方の祖母88歳の、6人+1匹で暮らします。




母方の祖母は、伴侶の祖父が半身不随になってからの7年と、祖父が亡くなってから3年の、計10年、鶴橋のマンションの一室で一人暮らしをしてきました。昨年春に肺炎、その後2度の転倒ですっかり気を弱くして、認知症の症状が顕著になり、生活に支障が出てきたのです。

祖母は、長男には勘当されていて、立派な家に住んでいる長女の亭主とはウマが合わず、次女である母が引き取る運びとなりました。

認知症と云っても、症状が酷く出るのは、娘たちの前でだけだったりします。人の話を殆ど聞いていないとか、同じ話を何度も繰り返すことは、祖母が今よりもずっと若い頃からあったので、孫たちからすると、認知症なのか、そうでないのか判断がつきません。でも、お医者様は認知症と診断したので、そのようです。

認知症は30~40代から少しずつ進行し、高齢でドカンと症状が出てくる病気なのだそうです。ですから正確には、「高齢で突然認知症になった」ということではないみたい。(型の種類は、主治医に確認できていません)追記:その後、アルツハイマー型だと判りました。



さて、引っ越す前の準備段階から、祖母に対する母の対応には、穏やかならぬ波がありましたが、荷物をすべて運び終わり荷解きに入ったここ数日では、エスカレートしてヒステリーに変わること数回。

この点ではお年寄りの方が、さすが年の功で、分が悪くなると「トイレが近い」と言ってスッと去ったり「私だけは捨てんといてやー」と笑って済ませたり「何もわかりませーん」と、おどけてみたり。

認知症だとわかっていても、そもそもの祖母の性格を知っている母は、本気でつっかかって、自分自身で傷を負うことになっている。と、はたから見ている私(孫)は思うのです。

母の声があまりにも大きくなりすぎる時には、私が間に入ります。でも、たいていのことは放っています。人それぞれの考え方がありますが、いくら歳とともに子どもにかえってゆくのが人の定めだとしても、祖母も母も人生経験を積んだ大人なのだから「世話をやきすぎない」ことが肝心と私は考えるのです。

‥考えているだけで、実際の行動や感情は伴わないことが多々あります。

父も夫も、男性ということもあってかしら、ハナから世話をやこうなんて思ってないみたい。父方の祖母は、良くも悪くも人事には干渉しない。しかし母も私も、「娘はそうはいかない」って思ってしまうのは何故だろう。

祖母に対し「好きにしてー」って感じで放っておきすぎると、とっても悲しそうな無表情になっちゃうの。そうすると私も心がシュンとなるので、「さじかげん、さじかげん」と思ったりしますが、祖母に対して「さじかげん」なんて思うことは、失礼なことかもしれません。



今日、父は抗がん剤治療のため再入院をして、母はまた夕方まで付添う予定で、父方の祖母はデイサービスへ出かけていて、母方の祖母は居間でテレビをみていて、私は自室でお膝の上のノートパソコンのキーを打っていて、トイプードルのココが寄り添って座り、小さく震えて歯軋りをしています。

ココは、私は結婚して家を出た後、姑のことで大きなストレスを抱えた母のために、父が贈った犬なので、私にとっては愛犬というより、家族としての同居犬。性格が好きとか嫌いとか関係ナシに、一緒に暮らす家族のひとりです。

ひとりでゆっくりしたいときに、いちいちついて回って遊んでほしがるとか、物音に驚いて何だ何だと大きく吠え立てるとか、ココだけでなく、それが甥っ子姪っ子であっても、母や祖母であっても、私にとっては迷惑だし、疲れます。

それでも一緒に暮らしてゆくのが家族なんだなーっ。



それにしても、二人の祖母はどちらも、テレビの音を大音量にして、人が言っていることが聞こえないと訴える。1歳半のココでさえも耳が遠い。

父も母も耳が遠くなってきているので、両親世代以上の人に対し、大きな声で喋る癖がついた。その大きな声で喋っているときの自分の声が気に入らない。

夫以外全員の耳が遠い家族構成で暮らしているこの機会に、ぜひとも美しい発声を習得して、素敵な女性になるために、一歩でも成長したいものです☆



2015年3月16日 記



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