「何でもいいのでできるだけ食べさせてください。
病院のご飯は不味いです。
美味しいものを食べさせてあげてください。
煙草も本人が欲しがるなら構いません」
前日に主治医の先生からこのように言われていたので、母と私は病院へ行く前に大型スーパーへ立ち寄って、思いつく限りの色んな物を買い込んで、父に会いに行きました。
父の様子
それでも父は食欲があまり出なくて、サンドイッチ一切れとか巻き寿司一切れとかをちょこっと食べられる程度です。
毎日、父との別れ際に、これがさいごになるかもしれない。そう思って手を握ります。すると父はフッと微笑んでくれるのです。
幾つになっても父親というのはどんな時も娘に対して優しい笑顔を送れるものだということを目の当たりにして、まだ子どものいない私は、とても静かな不思議な気持ちになりました。
本人は把握できていない
鎮痛剤オキシコンチン錠が効いているせいで、父は何事も無いような振る舞いを見せるようになり、骨折している体は大丈夫なのか心配でたまらない。
あれだけ痛んだ体が平気な筈はなく、安静にしていてもらいたいのだが、あと何日生きられるかわからない父に強要はできない。
もうひとりの主治医となる血液内科専門の若い先生が、あらためて父に病気の説明をして下さった時、漸く父は自分がガンであることを理解したように見えましたのですが。
残念ながら「ガーン!」なんて冗談は家族の誰も言えなかった。現実とはそういうものなんですね。
検査結果を待たずに
見舞いに来て初めて父を見た兄も、姉も、信じられない様子。
父は元気にしているつもりらしいが、時々トンチンカンな言動を発し、皆苦笑いしてやり過ごす。これは鎮痛剤の副作用のようです。
病院の判断
肺炎の経過が良くなってきたので急遽、検査結果・病名の正式な診断を待たずに抗がん剤治療を開始する運びとなります。
当初「99.9%多発性骨髄腫ですが正式な診断結果が出ないと抗がん剤治療は始められない規則です」と言われていたのに。
多発性骨髄腫は患者数も少なく治療方法も模索状態なので、この患者を手放すまいと病院もしくは主治医が判断したのかもしれない。今回の場合はありがたいことです。
抗がん剤治療へ向けて、口腔外科で口の中の点検と掃除をしてもらいます。
2015年3月16日月曜日 記
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多発性骨髄腫