お義母さんの好きなところ




主人の実家へ、置いてきた物を取りに行こうと、ふらっと寄った日のこと。




探しているものが見つからなくて「ないなぁ、ないなぁ」と主人がつぶやきながら、家中のあちこち引っかきまわしているとき。

私は立って、それを眺めながら、ウロウロしているだけでした。



すると義母は、声には出していませんが、「よいしょっ」という感じで、ちょこんとちゃぶ台の上に腰を掛けたのです。

字もお茶も一通りできて、いつもキチンとしているおかあさん。

まさか、ちゃぶ台に腰掛けるとは!

ちゃぶ台と言っても、其処は御飯を食べる机ではなくて、本を読んだり大正琴を弾いたり、なんでもする「なんでも机」ですから、もちろん不衛生なことはありません。



腰掛専用の楽な椅子を置くスペースなどない狭いお家で、規律に縛ったりしないで、工夫しながら楽に生活をしている姿を見て、私はいっそう義母が好きになりました。



外は暗くなり、普段の私達なら晩御飯の時間。

「おなかすいてる?」「すいてるー」

その一言会話だけで、すぐに御飯を作ってくれる。



おなかがすいてる人のために、チャチャッと作れる人に私もなりたい。



2014年5月23日 記



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